資本金の額を決めよう


【資本金の額について】

会社設立時の資本金をいくらにするか。

会社法では最低資本金ルールは廃止されたため、資本金0円の会社設立というのもできないことはありませんが、現実問題として資本金0円の会社を設立する事例は少ないのではないでしょうか。

ところで、資本金というのは、会社設立の際に出資された価額のうち資本金として計上された額であって、返済する必要のない金額です。

もちろん、出資された資本金というのは、すべて現金として会社に残っているわけではなく、さまざまなものに形を変えています。

ですから資本金の額がそのまま会社の持っているすべてのお金だと判断するわけにはいきません。

会社設立の際に、人を集めて出資を募ります。
持ち寄った出資金を全額資本金としてもいいし、半分は準備金にしてもいいことになっています。

資本金、資本準備金は会社の業績を左右する基準のひとつです。
会社は、総資産額から負債を引いた純資産額が、資本金、資本準備金を上回るように努力しなければなりません。
株主への配当ができるかどうかのひとつのハードルだからです。

つまり、資本金の額は、会社をつくるときなどにいくら出資したのか、そしてその後の業績を左右する基準という意味合いです。

もちろん資本金の大きさは、その会社の規模の大きさにも関連します。

 

また、資本金の額によっていろいろな影響が出る場合があります。


【消費税の免税と事業年度】

資本金の額が1000万円未満の場合、1期目と2期目の消費税がかかりません。
ただし、1期目の事業年度開始から6ヶ月の売上が1000万円を超えると2期目から消費税を払わなければなりません。給与支払額の合計額での算定でも可なので、両方超える場合は課税事業者になります。

会社設立の際は、この点で事業年度の設定と密接の意関係してくるので注意が必要です。

会社設立1期目から6ヶ月間の売上が1000万円を超える場合でも、1期目が7ヶ月以下であれば短期事業年度として扱われ、1期目の売上や給与支払額にかかわらず、1期、2期目とも消費税の納税義務が免除されます。

消費税を優先的に考える場合、
1期目の売上や給与支払いが1000万円以下になるようであれば1期目を最大限長くとるように事業年度を設定すればよいでしょう。

そうでない場合は、1期目を7ヶ月以下とすればよいでしょう。

 


【許認可での要件】

建設業や旅行業、貸金業、派遣業など資本金の額が要件、目安となっている場合があります。
設立する会社の許認可要件については事前の確認が必須です。
資本金が要件に足りず、あとで増資を行うとなると、別途登録免許税や手数料がかかります。

 


【融資を受ける場合の影響など】

日本政策金融公庫などで融資を受けようとする場合、当然貸付に際して審査があるわけですが、資本金も融資の金額に影響を及ぼすことがあるようです。
そのあたりも見越して、あまりに少ない資本金ではなく、ある程度の金額は用意したほうがよさそうです。

その他、株主への配当額の基準に、資本金の額、準備金の額が大きくかかわっていること、などがあります。


【出資金として振り込んだ後、会社設立後の資本金の行方】

会社設立の際に、発起人が通帳に振り込んだお金はどうなるのでしょうか。
発起人が振り込んだ出資金は、基本的には資本金として計上され、会社のお金ということになります。

通常は、会社設立後に法人の口座を開設しますので、その口座に移すでしょう。そのまま使わなければ、現金、預金として貸借対照表上は計上されますが、備品を買ったり不動産を買ったり、敷金を払ったり、現金は形を変えて資産として残っていくことになります。

 資本金は、会社設立時に用意した金額、自己資金という意味合いにすぎず、様々な資産に変わっていくのです。


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